追憶の端に

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■ fragments – overwrite reminiscence

「わ、私がシシーヤデザイン学院文化祭のファッションショーに……ですか?」

同時に、抱えていた書類の束がばさりと落ちる。
リリス王国首相秘書ことジェーンは小さな悲鳴を上げると、慌ててしゃがみこみ、散らばった書類を拾い始めた。

リリス王国、首相官邸。
広場に植えられているコスモスが咲き始めたばかりだが、庁舎では早くも冬服のコーデバトルがちらほらと見られる。
ジェーンは自身が着ている一張羅の秘書服に一瞬目をやり、自身の上司――ニーズヘッグ首相に訊き返した。

「君も卒業生だろう。勝手は分かっているはずだ」
「そ、それは……」

リリス王国最大の都市、シシーヤのデザイン学院では毎年秋に文化祭が開催される。中でもファッションショーは目玉となるイベントで、例年諸国から要人が集まる程注目されている。ショーに出るデザイナーもスタイリストもトップクラスの成績の者たちで、勿論モデルも学院の人気者が務めるのが常であった。
お世辞にも好成績とはいえなかったジェーンには無縁だったイベントに、ほろ苦くも様々な思い出が頭を巡り始めるも、ニーズヘッグはジェーンの表情に気付く様子も見せず話を続けた。

「衣装のことを気にしているのか?デザインはとっくに完成している。縫製は発注済、何の心配もない」
「そうではなくて、どうして私が……」
「自業自得だ」
「えっ」

再び訊き返そうとするジェーンに、ニーズヘッグは一冊の小冊子を突き付けた。

「これは、『Lilith Style (リリスタイル)』?」

―― Lilith Style、通称『リリスタ』。

元はリリス王国の官報に付随するものだったが、国内の流行コーデや政府要人のインタビューなどが人気を博し、娯楽雑誌として独立。今では政府が発行する国民的雑誌として親しまれている。
ジェーンも愛読者で、首相秘書に採用が決まってすぐ、ニーズヘッグが取り上げられた記事を図書館のバックナンバーで探し、以降もずっとスクラップ帳に集めていたのだった。

その『Lilith Style』にジェーンのインタビュー記事が掲載されたのは、数か月前のことだった。
正確にはロイス王子の従者であるクローカとの共同インタビューだったのだが、軍事国家のノーザン王国出身で冷徹とも見えるニーズヘッグ首相の秘書があまりにとぼけた受け答えをすること、翻って、温厚で明るく親しみやすいロイス王子の従者があまりにクールすぎるというギャップが話題となり、その号は入手困難になる程大人気となったのだった。

「揃って疫病神だな。私の秘書を巻き込むなど」
「あ、あの何か仰いましたか」
「独り言だ、何でもない」

文化祭のファッションショー出演のオファーがニーズヘッグの元に来たのは、それからしばらくしないうちだった。

「ですが、本当に私なんかでいいんでしょうか……」
「だったらウォーキング練習の一つでもしてみなさい」

ニーズヘッグは従者二人が写ったページを開いたまま冊子を机に伏せ、代わりに袖机から一組のデザイン画の束を取り出した。ニーズヘッグのサインが入ったデザイン画には、リリス王国らしい可憐な花柄モチーフのセーラー服が描かれていた。

* * *

「背筋を伸ばし、胸を張る。視線は遠くへ。時折観客やカメラにサービスするのもよい。それから……」

ここは官邸の片隅にある小さな会議室。
官邸内でしばしば迷子になっては会議に遅刻して首相に叱られるジェーンが偶然見つけた部屋だ。夕方になると西日が差すためか、あまり使用されない。ジェーンはここで、図書室で借りたモデルの指南書を片手にウォーキングの練習をしていたのだった。

「笑顔を見せるときは、コーデバトルのスマイルスキルを使い……あれっ、その先の文字が小さくて読めな……ひゃあああっ!」

部屋の隅に重ねてあった机や椅子が倒れる音が廊下に響き渡る。

「何事ですか!!」

ドアを乱暴に開き、得物のナイフを構えて押し入ってきたのはロイス王子の従者こと、クローカだった。

「た、助けて……!」
「……また、あなただったのですか」
「も、申し訳ありません……」

一体どのような転び方をすればそのような体勢で机の下に埋もれるのか、本当に彼女は自分よりも年上なのか、そして、どうしてこのような間の抜けた少女があの首相の秘書なのか。クローカはぶつぶつ独り言を漏らしながら、ジェーンを引っ張り出し始めた。

「……そういうことですか」
ジェーンから事情を聞かされたクローカは、腕を組んだままやれやれと零した。
外は夜の帳が落ち、人の声もしない。西日で暖められていた部屋も冷え始めていた。

「クローカさんは、ロイス王子のモデルを依頼されていないのですか?」
「そのような任務は受けていません」

あなたと違って、という言葉を飲み込む。

――だったら断ればよかったのに

自身の主、ロイスの言葉を思い出す。「あいつも面倒な男なのさ」と軽薄に笑う彼は一体誰と較べていたのか。
ロイスがこれまで自分のためにデザインしてきた衣装、そして今度のファッションショーで新たに生み出される作品を想う。
今度は一体誰のために寝食を忘れるほどデザインに没頭しているのか。それが『自分以外だ』という確証のなさは、手指に絡みついた蜘蛛の糸のように不安定な安堵と歪な優越感をクローカの心に纏わせていた。

「クローカさん、やはりモデルをなさるんですね」
「何故そのようなことを」
「微笑んでいるクローカさんって、珍しいから」

歪んでいるのかほころんでいるのか判断もつかないまま、クローカは慌てて口元を隠した。

「それよりジェーン、私がモデルの指導をしましょう」

何とかして話題を変えようとクローカは立ち上がった。突如の申し出にジェーンは驚くも、クローカは有無を言わさずしゃがみこんだままのジェーンを立たせた。

「まず、足は肩幅に開いて、膝を自由に使えるようにしてください」
「えっ?は、はい」
「かがまないで。猫背にならないように、腰はまっすぐに保ってください。そのまま片足を前に出して、両腕を前に。……そう、左腕は軽く曲げて手を組んで」
「あの、クローカさん」
「何ですか」
「このポーズって、その……」

拳銃を構えるポーズのまま、困惑顔のジェーンは首だけ動かしてクローカの方を向いた。

* * *

文化祭前日。
学院は下校時間をとうに過ぎているものの、準備の追い込みのためかまだ生徒がまばらに残っていた。腕章をした生徒が大声で指示をし、慌ただしく什器を運んでいる。
ニーズヘッグはファッションショーの最終確認のため、衣装室として使われている教室に向かっていた。

自身が学生時代にデザインした婚礼衣装が飾られている広間を通り過ぎ、旧校舎に繋がる狭い階段を上る。学生時代に知った近道はまだ使えるようだった。時折すれ違う生徒の挨拶に応えながら、ニーズヘッグは自身の靴の音だけがこだまする薄暗い廊下を歩いていた。

――誰かが泣いている?

突き当たりの教室から微かに聞こえる、しゃくり上げるような泣き声。
聞き慣れた声にニーズヘッグは駆け出し、勢いよく扉を開けた。

「ジェーン、そこで何をしている」
「しゅ、首相……!」

部屋の電気も付けず、ジェーンは地べたにへたり込んでいた。
ニーズヘッグの姿を確認すると、何かを隠すようにうずくまった。

「何を泣いている。ファッションショーは明日だろう。そんなに泣いては目が腫れて……」
「首相、私、ファッションショーには出られません……!」
「突然どうしたんだ」
「み、見ないでください」

強引にジェーンの腕を掴み、抱えていた『何か』を引き剥がす。
広げて確認するまでもなく、ニーズヘッグはその正体を悟った。

つい数日前まで『ニーズヘッグ首相デザインの女子学生服』だったもの。
トップスもスカートも無残に引き裂かれている。セクシー属性を意識したクラッシュデザインだと説明したとしてもまともに着られるものではなかった。

企業主催のショーなら部屋やクローゼットに鍵を掛けて厳重に扱うだろう。このようなことが起きれば、大陸中を騒がせる大事件となるはずだ。だが由緒ある行事とはいえ、所詮学生の文化祭。管理のずさんさによるミスも学生という隠れ蓑でごまかすことができる。

――学生たちの与り知らぬ悪意さえも。

「それで復讐のつもりか、二度もこのような真似を」

ニーズヘッグの笑みを歪めた口元と光のない目に、ジェーンは背中がぞくりと粟立つのを感じた。

「ジェーン」
「は、はいっ」
「鋏を持ってきなさい」

ジェーンが持ってきた裁縫セットを箱ごと奪うように受け取る。ニーズヘッグは躊躇いもなく衣装に鋏を入れ始めた。

* * *

学院で一時期流行したパッチワークを取り入れ、破れた部分に別の布やパーツを合わせた学生服セットコーデ。
花柄のプリーツスカートは前より華やかさを増していた。トップスのセーラー服とカーディガンにはデザイン道具を収納するための隠しポケットが追加されている。スカートと色合いを合わせた髪飾りは余ったパーツで作ったものだが、白ウサギとクローバーのモチーフがアクセントになっていた。
機能性にも優れたデザイン、そしてリメイクは軍事大国であるノーザン出身のニーズヘッグにとっては造作もないことだった。
衣装室内のスタッフから沸く歓声とどよめき。何処かから微か聞こえた舌打ち。
ジェーンは前日散々泣いた上に睡眠不足のせいで腫れた目をこすり、表情一つ変えないニーズヘッグを不安そうに見上げた。

「首相、私……」
「毅然としていなさい」

前日の夜、ファッションショー用の衣装を全て分解したニーズヘッグは、ジェーンにコーヒーを買いに行かせた。最早衣服というより端切れの山となったそれらを少し遠くから眺めていたニーズヘッグは、外を歩いて少し落ち着きを取り戻したジェーンからコーヒーを受け取ると、独り言のように口を開いた。

「衣装の良し悪しを決めるのは誰だと思う?」

ジェーンは首を傾げるも、ニーズヘッグは続けた。

「過去に束縛され、運命をただ受け入れるのは弱者のすることだ」

若くしてリリス王国の首相にのし上がったニーズヘッグも、出身地という烙印を消すことはできなかった。事あるごとに嫉妬による妨害や出身国による差別を受け、時には命の危険に晒されることもあった。

――最高の衣装を貴方に

だが、彼はそれらを自身の実力で跳ね除けてきたのだ。
孤独な野望という諸刃の剣を武器に。

「この程度の妨害で泣き言など。君も少しは嫉妬というものに慣れたらどうだね」
「……でも、どうしたらいいのか」
「安心しなさい」
ニーズヘッグはジェーンの頭を優しく撫で、数日ぶりに微笑みを見せた。

「今からデザインを変更する。君も学院出身なら縫製ぐらい出来るだろう」
「い、今からですか?それに首相がデザインなさった服を私なんかが」
「泣き言を言うな。今夜中に片を付ける」

――君の運命は誰にも変えさせない

まだスタッフたちの目が釘付けのトルソーに歩み寄り、衣装を脱がせる。怯えた顔をしたままの彼女に持たせ、背中をぽんと叩く。
「ジェーン、君は誰の秘書を務めている?」
ニーズヘッグは自身のデザインした衣装を抱いた秘書を、参加者たちが使う更衣室へと送り出した。
(終)

■ crosstalk – override adolescence

「秘書としてあるまじき行為だ」

普段ならこの後は夜通し叱責の言葉が続くはずだった。
仕置きを受けることを覚悟して身を固くしていたジェーンは、声を上げて笑い出したニーズヘッグを二度三度見てその目をぱちくりさせた。

リリス王国、シシーヤデザイン学院。
今年も大盛況だった文化祭も終わりに近づき、ニーズヘッグ首相と秘書ジェーンは控室で遅い休憩を取っていた。
窓から見える広場の出店では閉店前の最後の安売りをしており、売り子たちの活気ある声が響いている。一般の学生たちは既に制服やドレスに着替えて後夜祭の会場に向かっているようで、友達同士の他、初々しいカップルらしき男女もちらほら見える。生徒会役員たちは会場準備に走り回っていた。

「あんなもの一体どこで覚えたんだね」

ひとしきり笑い終え、ニーズヘッグは机の上に山積みになった屋台の食べ物――ジェーンが売り子たちの宣伝を断り切れずあちこちの出店で買わされたものの中からチョコバナナを手に取り、いまだに戸惑いの表情を浮かべたままのジェーンの口元に差し出した。

ファッションショーの後、一人で広場を歩いていたジェーンは、同じくショーの参加者だったモデルとその仲間たちに取り囲まれた。
「首相のモデルさん?ちょっといいかしら」
「な、何でしょうか」
「何よ、その他人行儀。私たちなんて眼中にもなかった?さすが首相の秘書だけあるわね」

通りすがりの学生に何の脈絡もなく攻撃的な言葉で話しかけられ、喧嘩に慣れていないジェーンは言葉を失った。

「その制服コーデすっごく可愛いと思って話しかけてあげたのに。まあ、首相のデザインのおかげだと思うけど」
「あの、私……」
「私は関係ないって顔だな。リリスの腑抜け共がニーズヘッグ様をいいように使いやがって。俺たちノーザンの誇りを踏みにじった自覚もないのか」
「本当、コーデ力も大したことないくせに、ゲスト気取りでファッションショーなんか出てんじゃないわよ」
「まあまあ、これじゃ僕たちが悪い奴みたいじゃないか。秘書さん、僕たちはモデルの彼女があまりにかわいそうだから付いてきただけなんだ。だから、ここは正々堂々とコーデバトルで勝負してくれないか?」

青年が提示したテーマは【武器コーデ】だった。
「彼女も君も普通の学生服、平等だろう」と青年が口の端を上げる。断る術もなく承諾すると、取り巻きの大柄な青年がモデルの女子生徒に武器を貸し始めた。ニーズヘッグから以前教わったことのある、ノーザンでも有名なメーカーの代物だった。
「これなら楽勝だな。あの銀髪の医者の言う通りだったぜ」
小声で馬鹿にするような笑い声が聞こえる。衣装室で聞いた舌打ちと同じ不快感を誘う声だった。
だが、今更辞退することは不可能だった。路上コーデバトルと聞きつけ、ジェーンたちの周りにはいつの間にか人だかりができていたのだ。これも計算済みだと言わんばかりに、準備の完了したモデルは不敵な笑みを浮かべながら登場した。

ところが、勝負は意外な展開を見せた。

「……まず、足は肩幅に開いて、膝を自由に使えるように」

――猫背にならないように、腰はまっすぐに保つ。そのまま片足を前に出して。

「ちょっ、あんた何でそんなもの持って……嫌、こっちに向けないで……た、助けてーっ!!」

どよめく取り巻きとやじ馬たち。騒ぎを聞きつけ、アンフィシア新聞の記者たちはニーズヘッグ首相のインタビューさえも途中で切り上げて集まってきた。高飛車な態度でスキルを繰り出していた挑戦者のモデルは、泣き出し耳を塞ぎながらしゃがみこんでいる。

セーラー服の隠しポケットから取り出した拳銃を構え、ジェーンはモデルにその銃口を向けた。

* * *

「しかし、君は何故あのバトルに勝てたか分かっていないようだな」
「【ミリタリー】か【ワル】だから、でしょうか」
「あの拳銃が模造品ではなかったからだ」
「……!」

ジェーンは知らない間に持たされた本物の殺人用武器の感覚を思い出し、自身の手のひらを見て肩をがたがたと震わせた。ニーズヘッグの顔からも笑みが消えていた。

「私がインタビューを切り上げて駆けつけていなかったら暴発していたかもしれない。……誰だね、あんなものを君に持たせたのは」
「申し訳ありません」
「答えられないのか」
「……申し訳ありません」

ニーズヘッグは溜息をつき、ジェーンに一口食べさせた菓子を机に置いた。

「……もういい。君にも不要な迷惑をかけたな。明日から普段の公務に戻っていい。帰るなら車を用意する」
「そうじゃないんです」
「何がだ」
「私は……この数日楽しかったです」

ジェーンは声を震わせながらも、ニーズヘッグを真っ直ぐ見た。

「首相は、私の辛い思い出を塗り替えてくださいました」

学校ではデザインもコーデもぱっとしなくて、何か得意なものがあるわけでもなくて。
在学時の文化祭はそれなりに楽しんだけれど、何もできない自分が少し寂しかったんです。

「だから、今回の文化祭は内心とても楽しかったんです。何かのために友達と一生懸命練習して、憧れの先輩と夜遅くまでお洋服を作って、いろんな話をして。本当は学校の文化祭って、こんな充実感がきっとあったんだろうな……なんて」
「縫製しながらあれだけ泣いていたというのにか」
「それは……」
「明け方には『いっそクビにしてくれ』とまで言っていたのにか」
「いえ、その……」
「それより君は私のことを『憧れの先輩』だと思っているのかい?」
「それは……!」

ジェーンは耳まで真っ赤にした顔を俯かせた。ニーズヘッグはクスリと笑うと、ジェーンに一歩歩み寄り、耳元でそっと囁いた。

「では、私も今夜だけは学生時代に戻るとしよう」

そのまま片手で抱き寄せ、指で顎を上げさせる。
見開かれた大きな目は涙で潤んでいた。

「首相は……学生時代楽しかったですか?」
「考えたこともなかったな。功績を上げることしか眼中になかった」

誰にも明かすことのできない失意を胸に訪れた南の理想郷。
祖国で起きたことを全て忘れ、光差す青春の道を再び歩むこともできたのかもしれない。だが、胸に宿った焔を消せはしなかった。偽りの平和に復讐するという野望、それが私の全てだったからだ。
学院在学中、然るべき人物に認めてもらうためには手段など択ばなかった。行事の類も当然利用した。優等生という仮面を貼り付けて立ちまわるうちに、それが私の『武器』の一つに過ぎないことを知った。そこに『楽しいかどうか』などある筈もなかった。

「どうして君が泣くんだ。何も言っていないだろう」
「……」

本当は君のように、穏やかで満ち足りた日常を過ごしてみたかったのかもしれない。
だが、その君もまるで何かが欠けている。その不完全さが、私の荒んだ心を満たそうとしていた。

――だからこそ、今夜だけは君と過ごしてみたくなったのだ。君も私もきっと知らない、青春というものを。

「君は在学時、後夜祭まで残っていたことがあるか?」
「いえ、一度もありません。皆みたいにダンスもちゃんと踊れないし、それに……」
「……私と来てくれるね?」

こくと頷き、目が閉じられる。
幸せそうに微笑むジェーンの小さな唇には、瑞々しく甘い口づけが落とされたのだった。
(終)

■ あとがき

フレデリーク……もとい、cueです。
この度は企画に参加させて頂きありがとうございました。

拙作につきまして、軽くですが補足をさせて頂きます。
元となっているのは春コミで頒布した合同無配SSです(画像参照)。当初は時間が足りず、断片でごまかすという荒業で乗り切った(乗り切ってない)のですが、今回正式に企画として立ち上がったということで、デザコン参加者様の記事も一部参考にさせて頂きつつ、三次SSとしてリメイクした次第です。
内容的にもリメイクがキーになっているので、タイトルもそのまんま『fragments(断片)』です。なお『overwrite』と『override』は誤植ではありません。『override』と『overload』が全然違うのと一緒です(分かる人には分かるジョーク)。

とっかかりとしては、葉月一華氏『ランウェイの上で』より、ロイスがノーザン服を選んだのはニーズヘッグを多少なりとも意識してだったのでは……という個人的妄想から話を膨らませています(何かと二人をバチバチさせがち)。
リリスタを利用してロイスがニーズヘッグにファッションショーで宣戦布告。ニーズヘッグは今後の共謀もあり受けて立つも、便乗した外野がジェーンの衣装を破壊し……という流れにしてみました。最後に出てきた外野=ノーザンの奴らですが、コーデバトルをけしかけたのはグレイクロウという設定です。旅行中の一行を嗅ぎまわるサクラたちをかく乱するため、ニーズヘッグへのささやかな反抗もこめて利用したという流れです。

機会があれば、また何かご一緒させていただけると幸いです。
お読みいただきありがとうございました。